「トガリビト 熱量に、ふれる」(CBCテレビ・教養)

  • 番組名:「トガリビト 熱量に、ふれる」
  • 放送局:CBCテレビ
  • 放送日時:2024年6月1日(土曜日)午後5時~午後5時30分

インタビュー、ドキュメントの新しい風に触れた感じだった。CBCにはかつて「すばらしき仲間」という対談番組があり、その手の番組の金字塔として記憶されている。その後、各局からは、さまざまな対談番組のフォーマットが提示されてきた。料理を入れたり、旅を入れたり。今回の「トガリビト」はインタビュアーと対象者という一番オーソドックスな作りではあるが、どこにそんなに新しい風を感じたのだろう。

それは「見せ方」だと思う。そして「ローカリティ」。豊橋の前掛けがこんなことになっているとは、寡聞にして知らなかった。そんな地元の人物にスポットを当てて、あえて?地元臭のないインタビュアー(宇賀なつみ)を据え、ドキュメントタッチも加えながら、30分を見せきった。まず対象者に視聴者として興味が持てたというのが最大の魅力ではあろう。が、この番組の魅力はそのスタイリッシュな構成・編集にあった。失礼ながら「イースト」系の作品か、と思ってエンドクレジットを見たらCBCクリエイションの作品だった。このセンスは誰のものなのだろう。テイストの方向性を決めるものだけに、ディレクターのセンスある感性に上手い編集が応え、枠を持つCBCテレビ編成も、一社提供のJR東海も満足した、という構図だろうか。人によってはうざいと思うかもしれないが、筆者には刺さった。

天地に黒身を配したビスタサイズ風の画面が基本。ややあおり気味の横打ち2ショット。これに左右に正面打ちのインタビュアーと対象者をワイプで切る。インサートの映像もこの基本画面を分割したワイプで構成したり、色味を考えた字幕の入れ方も適宜適切に気持ちよくリズミカルに挿入される。インタビュアーとナレーションは異なる。こうして30分の番組に全体のリズムが生まれる。グルメに頼らずやり切るか、と思ったがそこは本編を邪魔しないよう、スポンサーの長尺CMのごとき塩梅で挿入され、それはそれで良かったか、と感じた。

日曜の夜に見たいな、と思った。予告編が出なかったので単発ということなのだろうか。このフォーマットは単発で終わらせるにはもったいない。是非続編、レギュラー化を望む。JR東海エリアの番販もいいじゃないか。

この30分番組のフォーマットを作って仕上げたCBCクリエイションを褒めておきたい。身内にこのような完成度の番組を作れるスタッフを抱えていることは大きな財産だ。クレジットを見ればカメラはCBCクリエイションを使わず、「ぐっさん家」なども手掛ける手練れのカメラマンの名前があった。ここらへんはどういう仕掛けだったのだろう。YouTubeではやらない手間暇と金を掛けた構成は蛇口はどこであれ地上波テレビの持つ財産である。在名各局も身内の、また映像制作会社の存在抜きにしては番組作りは難しい時代だ。この財産を大事にし、かつ育て上げることを心がけていって欲しいと切に願う。(KING)