スナイパー時村正義の働き方改革

  • 番組名:スナイパー時村正義の働き方改革
  • 放送局:CBCテレビ
  • 放送日時:2020年10月19日(月)深夜1時29分~(30分)全3話

2020年日本民間放送連盟賞 テレビドラマ部門最優秀賞を受賞したことを記念しての再放送、全3作を見た。準グランプリを「バヤルタイ」と激しく争ったと論評されたと聞く。

初放送は見逃したので、とても楽しみに見た。

「スナイパー」に「働き方改革」というありえない掛け合わせがフィクションとしてとても面白いドラマになっている。CBCテレビの若手が発案したものだと聞いた。このワンアイディアをドラマ作りの錬達が30分もの3話に成立させた。スナイパー役の高杉旦、人事部の新人部員役の高田夏帆も適役で、高杉は職務に徹するスナイパー役(現実には表に出てこない職種なのでゴルゴ13から推測するしかないが)のイッコクさを怪演。時折子供想いの父の表情を出したり、パソコン作業を渋々したりする様も楽しい。また高田もイマドキの女子キャリアの対応だが、組織の職務に誇りと理解を持ち机の上の業務だけではなく現場仕事の判断に自分の業務との整合性を工夫していく。そして少し色気もある。伝説のスナイパーに「17時に退社しろ」と迫るなんて現代の矛盾をあぶり出し愉快でしょ。こうした設定がフィクションとしてとても面白くとても見事だった。

政池洋祐さんの脚本は秀逸でした。CBCの制作スタッフ、共同テレビの演出家たち、どなたがリードしたかはわかりませんが、ドラマチームとして優秀だと思います。そして発案した若者には最大級の誉め言葉を社を挙げて送ってください。最優秀おめでとうございます。

少し気になったことを書きます。放送時間があまりに深い。最優秀を取った記念での放送だし、芸術祭に出品する番組なのだからもっと日の目にあたる時間での放送にしたらどうでしょう。スポット中心の収益構造も変わってきているので番組編成も新たな感覚が必要なのでは。今までとは違う斬新で有効的な番組編成を考えてみる時ではないかなと思います。デジタルとアナログ永遠のテーマですね。

柴垣邦夫