CBC「トガリビト」2026.3.5(木)10:50~(再)
THK「運搬千鳥 それ、どうやって運ぶんじゃ?」2026.4.12(日)16:05~
2本の番組を見て思うところがあったので書いてみる。
まず「トガリビト」。
知多半島を代表する酒として知られる半田亀崎の「敷嶋」は、2014年に7代目が亡くなったことで廃業するも孫の伊東優さんが脱サラして復活させた。「自分の存在意義を考えたらやらなければと思った」という。温和な顔の下に静かな情熱を隠し持ち、祖父の味を継承するにとどまらず、独自性にこだわる。借金もしたが、改装後の酒蔵に惹かれて集う客の笑顔を見るにつけ、地域への貢献意欲が増したようだ。
今回は、トガリビトの成長過程での心の変化がよく伝わった。仲間の助けを得て自ら進むべき道と誠実に向き合いながら地元にしっかりと根付き、2021年に酒造免許を取得。みごと再建に至った。
そして、大好物の日本酒を前にいつになく緊張の解けたMC、宇賀なつみの表情が良かった。あまり尖った感じのしないトガリビト、優さんの醸し出す雰囲気が手伝ったのだろう。時にはシャープに切り込まない場面も素敵だ。
次に「運搬千鳥」。
「こんなもの、一体どうやって運ぶんだろう」という知的好奇心に応える恒例のネット特番(7回目)だ。今回のネタは「毛ガニ」「ヤクルトの原液」他。メインMCは千鳥、若槻千夏という突っ込み族。
毛ガニについては、能登の漁師に密着した川村エミコ(たんぽぽ)が光っていた。大漁を願い、まず手作りのお守りを丁寧に漁師に渡す。魚の選別、梱包作業も本気で手伝う。進んで汗をかく人だ。若槻は、この番組が縁で彼女をすっかり好きになり、毎年誕生日プレゼントを贈っているとか。千鳥・大悟も「能登のカニの素晴らしさが充分伝わった」と大満足。
また、ヤクルトの原液をタンクローリーで長時間かけて運ぶドライバーは元甲子園球児。その後、彼は社会人野球選手となるもケガでやむなく転職。しかし、今では「飲む人のことを考えると運転、積み下ろしの意識が変わるんです」とこの仕事にまっすぐだ。同行取材したかつての毒舌芸人、まちゃまちゃも「なんて好青年なんでしょう」と感心しきり。
当たり前だがテレビ番組では、こんなやりとりが元々の企画の良さをさらに引き上げることがある。MCたちの「いつもと違う様子」を視聴者は、案外見逃さないものだ。
中島精隆