「令和ふるさと紀行」(東海テレビ・教養)

  • 番組名:「令和ふるさと紀行」
  • 放送局:東海テレビ(創立65周年記念)
  • 放送日時:2023年7月30日午後1時55分~午後2時55分

本編の詳細に渡る感想はこの直前の中島氏の投稿をお読みいただきたい。ほぼ同感であった。筆者なりに追加で述べたいところがあったので記させて貰う。

とにかく映像が素晴らしかった。特に最初の鵜飼は、どのカットを取っても一枚の絵葉書になるような画像だった。計算された画角、被写界深度、安定した手持ちと、三脚付き固定映像の使い分け。荒いカメラ使いが多い(きちんと教育されたカメラマンではなくディレクターが面白さ主眼で回す画だから当然といえば当然)昨今、最近のNHKの紀行モノでもなかなか観ないような画作りだった。

「オモウマい店」的、You Tube的カメラのありようも否定はしないが、本作の画作りは筆者などの古株には心が洗われるようで思わずストーリーを忘れるくらいだった。腕が有ってもこういう画作りを要求されないカメラマンも、最近多いのではないか。演出がきっちり効くドラマなどではない紀行番組はハンディカメラマンの実力の発揮しどころだと思う。この番組を担当し腕を振るえたカメラマンは幸せだったな、と感じた。感性を持った上で教育されていないとこういう画は作れない。

この手の映像で筆者を毎年楽しませてくれるのはCBCテレビ・ダイドー日本のまつりシリーズだ。地上波民放の役割の一つとして、こういう画を撮れるカメラマンを自社でなくても金を掛けて発掘し育てていくことがあるのではないかと思う。

筆者は現在NHK(総合、BSP、BS4K)で放映中の「4Kでよみがえるあの番組 新日本紀行」を毎週楽しみにしている、とかつてここにも書いた。それは昭和40年代から50年代初頭への郷愁を呼び起こす感動と、追加で取材される現在の取材地の模様の落差(基本的には現在に生きる人々の前向きな姿勢)の興味深さを感じるからだ。今回観た「令和ふるさと紀行」も、同じような興趣を感じた。長い歴史を持つアーカイブは、さまざまな事を私たちに教えてくれる。(KING)