「トガリビト 熱量に、ふれる #10」(CBCテレビ)

  • 番組名:「トガリビト 熱量に、ふれる #10 大阪・東大阪」
  • 放送局:CBC
  • 放送日時:2028年9月5日(土曜日)午後5時~30分

今回の「トガリビト」は東大阪市布施で、商店街まるごとホテルにしてしまった男の話。10回目ともなると、見慣れた方としてはすっかり居心地の良い時間となり、初めの頃は目立っていた「トガッた」テクニカルな手法もこの番組のスタイルとして定着した感じとなっている。

偉人伝ではないので、取り上げる人物の発想、着想の自由さ、新鮮さ、人生における縁の面白さにスポットを当てたフットワークの軽い構成は30分番組に相応しい。これまで筆者も9人の「トガリビト」についてここに書いてきたのだが、今回も含め登場人物を見ていて思うのは、家業を継いだ人たちを含め「既成概念」を(意識してか、せずかは問わず)打破していく発想力、チカラの興味深さ、面白さだ。

イノベーションを成し遂げていく人々は松下幸之助や盛田昭夫、ステーヴ・ィジョブスらを挙げるまでもなく、既存のレールに乗れば楽だがそうはしない人たち。彼らの存在が私たちの生活を豊かにしている。実業の世界で活躍している少なくない人が大学を選択しないという面も、そうした傾向を物語っているようだ。

今回取り上げた「商店街をまるごとホテルにしてしまう」という発想も、「そう来たか」と感心してしまう発想であった。観光地でも名所があるわけでもないのに、商店街を楽しむという発想は、これまでの「ホテル」という概念に縛られていると出来ない。客室は空き店舗、浴場は銭湯、ダイニングは居酒屋と、客は非日常を回遊しながら楽しむ事が出来る。これは名所旧跡以外の日本を楽しむというインバウンド需要も取り込めるメリットがあった。こういう楽しみ方なら東大阪市へ行ったら面白そうと筆者でも思う。聞けば納得だが、こういう発想が出来るかどうか。今回特に「縛られない発想」が印象的だったのは、BtoBの商品ではなく、創業家の商品でもなく直ぐにでもだれでも体験出来るものだったからだ。また彼が語る自分の半生もまた「既成概念」を破るもので痛快だった。これはどの「トガリビト」にも当てはまることだ。

この番組の登場人物たちは、私たちに普段の生活や考えの中で、「これまでそうだったから」とか、「そうしてきたから」という事に「待てよ」と思う気持ちが大切だと教えてくれているのである。番組製作や報道現場での心構えも、もちろんそのようでありたい。(KING)