「世界の年収400マン 年収400マンで手に入る!世界の豪邸SP」(中京テレビ:情報・バラエティ)

  • 番組名:「世界の年収400マン 年収400マンで手に入る!世界の豪邸SP」
  • 放送局: 中京テレビ
  • 放送日時:2019年2月28日(木曜)午後7時~8時54分

2015年8月からもう5作目になる。この3年はプライム帯での放送を実現しているから大したものだ。中京テレビは「プロダクションCTV」から、今年は更に好ましい環境を得たとも聞く。御同慶の至りである。プライムタイムでの全国放送を担うのは編成・営業テクニカルとしても難しいものなので、全社的に意気が上がったに違いない。

この番組は日本の平均年収400万円は、世界各地でどのような価値を持ち、その年収を得ている人はどういう生活をしているかを取材するものである。リタイア世代の筆者などは切実な思いで2時間を過ごした(苦笑)。今回の取材先の先頭を切ったのは、日本人のリタイア後の移住先としてここ数年連続1位の座をキープしているマレーシア。天然資源に恵まれたこの国は物価が安い上、消費税、相続税、贈与税がかからない。そのほか生活インフラ費も驚くほど安い。もちろん熱帯雨林気候なので野菜や果物も安くて豊富、近海の海から穫れるサカナも豊富だ。ここでは国際結婚した日本人女性の家を訪問。家政婦を複数使って豪邸に住んでも年収400万でやっていけるというから驚きだ。次の取材は女性・子育てに優しい国スウェーデンに。高税率の国として知られるが、その福祉は半端ない。さらに取材は南米コスタリカ、アゼルバイジャン、セブ島へと続く。

次第になんだか日本の政治の無策っぷりが暴かれていくような気分にもなり、スゴイなあ、と思うより腹が立ってっも来た。だが、よく考えてみると、この手のネタは、年収400万の暮らしを支える国のシステムが複合的に絡んでいるので一概に比較は難しいと感じたのだ。例えば治安とか医療、教育、社会保険、軍事費のシェア、国民の年齢構成インフレ率など。バラエティとして抑えるところは一応抑えてあったし、各国のさらなる事情についてはスタジオの経済ジャーナリスト荻原博子が解説をしていたが、とても足りるものではない。全部を紹介しようと思うと一箇所で1時間ほど掛かってしまうし、NHKぽくなってしまう。教養より娯楽色の強い当番組としては分かっていての処理だったろう。どの箇所の取材もそこそこまとまった取材にはなっていた。スウェーデンの国民性が「社会保障がしっかりしているから、将来の不安がなくそれ故、貯金をするという意識がない」とはビックリだったし、それに比べ日本は貯蓄高は凄いがそれは将来に不安を持っているからで、畢竟政治の問題ではないのか、と思ったり、そううした私のような穿ち過ぎの人間にはいろいろ世界事情がほの見えてきてそれはそれで面白かった。これを観て日本の税制に思いを致した人も必ずいると思う。

個人的には近いマレーシアに興味を覚えたが、あのドゥカティに乗って現れた早期リタイア夫婦はバイク用品のネット商売で400万弱を稼いでいるというが、更に彼らには今後年金があるだろう。突っ込みだしたらキリがないが、とりあえずこんな国もありますよ、というイントロダクションと捉えれば全般的に楽しく教育的なまずます良く出来た番組だと思ったのだった。(KING)