中京テレビ開局50年 香取慎吾と願いを叶えるクリスマス大作戦

  • 番組名:中京テレビ開局50年 サカイホールディングスプレゼンツ香取慎吾と願いを叶えるクリスマス大作戦
  • 放送局:中京テレビ
  • 放送日時:20019年12月15日(日)15時00分~16時55分

中京テレビ本社横の公園に作った巨大クリスマスツリーをバックにしたステージで行われた公開生放送。そこに香取慎吾がMCとして登場するので大騒ぎだ。いろいろあっても さすが香取慎吾が名古屋で番組をするというのは一種の高揚感がある。会場にも香取ファンと思う女性客がインサートでよく映っていた。中京テレビ50周年記念番組としては一番わかりやすい感謝企画。視聴者や出演者の願いを叶えるためにいろいろ企画は組まれているが、何といっても香取慎吾が中京テレビで番組MCをするという事が、素朴に大きな願いを叶えたことになるだろう。ともかくそのことに尽きる番組。

進行を担当した松原アナも最初は呼吸合わせの様子見で少し待つところもあったが、その後は大過なく進行を務めた。今後に生きる大きな経験になるだろう。また、共演者であるずんの飯尾やスピードワゴンの二人、鈴木ちなみ、SKEの須田亜香里、皆さん趣旨を理解し適度な前への出方で、単発の公開生番組にありがちな趣旨とは関係のないところで盛り上がる愚はなかった。

しかし、西陽が強かったり風が強かったり、オープンスペースのステージはなかなか苦労が多い。LEDでつくった自慢のクリスマスツリーをバックにするという制約がなければ屋内スペースで公開生放送にした方が番組としては落ち着く。勢いで持っていくノリでもなかったので考えドコでしょう。

番組内容で言うと、願いを叶える素材として千種高校のダンス部、養老ランド、電化製品を修理する名人ネタを頭に持ってきていたがVTRの尺が長いので、番組の全体像を理解するには重かった。

後半に出てきた、ジャグリングでルービックキューブをそろえるパフォーマーや漢字で絵を描く書道家はレベルが高かったので、テンポアップのため前半に使えたらよかったと思う。香取慎吾がMCという事で誰もがテンション上がる、そんな魔法があってネタ自体の精度はまずまずだった。公開生放送という条件はネタの精度という点ではかなり難しいので、風が強く、西陽が強いステージの上の進行としては健闘したと思う。

ただ、千種高校のダンス部の例で言うと このダンス部はどのくらいダンスレベルが高いのか、全国大会で10数位と言うだけでよくわからない。願いを叶えるためには地道な努力がないと達成感はありません。そこを表現として見せることなくフィナーレでのダンスに入っていく。香取がタクトを振るという事もどういう意味や効果があるのか、やってみてもあまり分らなかった。

僕がもう一つ評価しておきたいことは、サカイホールディングスが冠提供していたこと。ササシマXマスライツというツリーイベントに特別協賛している一環でもありオリジナル感の強いCMが流れた。また、JR東海がコラボしてスマートEXのCMを作っていたこと。地方局の今後の番組作りではスポンサーをどういう形で提供してもらうか、とても大切な観点。そして番組とのコラボは有効な手段。大徳さんが出演しているCMも出てきた。

以前にも指摘したが、ダイドードリンコが冠提供しているCBCテレビの祭り番組やブラザーが冠提供した中京テレビの「絶滅動物」、これら冠提供番組は営業セクションも一緒に番組作りに関わっている証だろう。番組趣旨に邪魔をしない形でスポンサーとの関係を前向きに展開させてほしい。

番組に戻るが、公開生放送は局パワーを示す良い機会だ。周年の単発で終わるのではなく、月1回程度、特別なタレントをMCにした番組を名古屋で公開放送するというのはどうだろうか?名古屋を一段ステージアップさせるのではないだろうか?週一のレギュラー番組ではスケジュールの点やギャラの点で、どうしてもほどほどになってしまう。

若者離れという前に若者が興味を持つ人物、テーマにもっとフォーカスを当てたらどうだろう?視聴率だけを求めていたら視聴者構成のボリュームーゾーンであるシニアターゲットの番組ばかりになってしまう。やっていることに矛盾がある。少し飛躍した論調になってしまったが、どうバランスをとっていくのか編成マンの力量が問われる。

柴垣邦夫