CBC よりそい 静寂と生きる難聴医師 

  • 番組名:よりそい 静寂と生きる難聴医師 「こんなお医者さん 懐かしい」
  • 放送局:CBCテレビ
  • 放送日時:2020年3月28日(土)深夜2時38分

この番組評を書くにあたって番組のHPを見たが、今川医師の写真が大きく出ていた。こんなに良い表情をしているお医者さんに僕もかかりたい。患者としっかり向き合って治療にあたっているとわかる写真。こんな映像がずっと番組中に流れている。耳がほとんど聞こえない医師、今川さんの様子を追ったドキュメント。KINGさんの情報によると2年半前にニュース番組の企画で取り上げ、地元の尾鷲駐在のカメラマンが2年追っかけ仕上げた番組のようだ。ニュースの企画で取り上げたものがドキュメントの素材となり番組になっていく事は、わざわざドキュメント班を作れなくなっている今の報道現場では必然の事のように思うが、なかなかできていない。そういう意味でも良いアプローチができた番組ではないか?尾鷲駐在のカメラマンはじめ制作スタッフの努力にエールを送りたい。

読唇術で患者の話を読み取る今川医師はやはり苦労は多いだろうなと推測するけど、コツコツと課題をクリアし今の表情をしている。困った事が起きても決して卑屈になることなく前向きな姿勢で周りの人も協力する空気を作っていく、この人間力は番組で取り上げるだけの価値が確かにある。でも、周りの人も協力することは簡単な事ではないだろうし、だから本質的なコミュニケーションができているのだろうと推察する。結果、「こんなお医者さん 懐かしい」という空気が生まれたのだろう。ある患者は今川医師に伝えるためにメモを作ったりして、みんなが理解しあうことに向き合っている。今の世の中、お互いが理解することに丁寧さ、親切さが薄れている中、この関係性は新鮮だし痛烈な社会批評だ。

気になったことを少し指摘したい。

・タイトルだが、「よりそい」というのは少し弱い。言わんとすることはわかるが最初どこかで聞いた「サイレントドクター 難聴医師」の方が番組理解が早い。番組の見方が楽で、そこから深く入っていけばいいのでは?視聴率は気にしていないのでいいのかもしれないけど、どうかなと思う。

・上白石萌音をナレーションに起用したことは快挙だが、看護師の設定で語らせているのには疑問がある。「恋は続くよいつまでも」の看護師役の好演で評価を上げた彼女だが、ここでいきなり看護師の設定でナレーションするのには無理がある。そんな設定なくナレーターとして使った方が、気づく人は気づいてニヤリとするのでは?

・KINGさんの評にもあったが、尾鷲の町や自然の映像があると病院の景色だけではなくなり良かったと思う。これは結構大事なことだ。

以上書きましたが、全篇がとても人に優しい作りで好感を持った。

しかし、どうして放送時間がこんなに深いのだろう?民間放送連盟賞出品のための番組とKINGさんが書いていたが、それにしても残念だ。おせっかいながら、連盟賞に出品する前にもう一度手直しして、見てもらえる時間帯で放送して、最優秀賞を目指したらどうだろう?そのぐらいやってみると良い素材だ。

柴垣邦夫