全力投球にエール。CBC「太田×石井のデララバSP」

放送日時:2023年10月18日(水)19:00~
放送局:CBCテレビ
番組名:「太田×石井のデララバ 矢場とんに270時間密着SP」

印象を端的に表すなら、物凄く気合の入った番組だった。CBCならではの突っ込んだ取材と整理された構成、また、丁寧な映像演出やスケール感のある音効にも感心させられた。

ローカル局にとってゴールデン枠をやるのは大変だ。オールターゲットゆえに求められる要素が多すぎるから。裏を返せば、企画者が最も大事にしている番組の芯が見えにくくなる。時には外野の声と戦う必要もあるだろう。どんな切り口や演出がこの時間帯に最も輝くのかを見極め、作る側(編成・営業を含む)の意見を集約する作業も必要だろう。その意味で、初回だけ2時間に拡大した実験的試みは良かったのではないか。

今回は、周知の人気店「矢場とん」の生い立ちや味の秘密にまつわる情報を網羅したことに加え、著名人(さだまさし)による食材批評コメント、そして同店野球チーム応援団長のミニドキュメントまで挿入されており、同店の「認知度」およびその「影響力」を見せつけられた思いだ。また、通常ならサイドネタにすぎない千切りキャベツについても専用工場に潜入取材しており、驚かされた。私には、どのネタも(録画で断続的に視たせいか)捨てがたく感じる。

さて、MCの起用について言えば、爆問太田氏と元CBC石井氏のW 巨頭。ここにも局の強い意気込みを感じる。しかし、興味深いのは今後の展開だ。どちらか一人でも成立するであろう力を備えた各人が、はたして自身の個性を今以上にどうプロデュースしていくのか。特に太田氏による巻末コメントは番組姿勢を表す責任があるため、そこに行き着く途中の「おふざけ」にも微妙な自己規制が働いてしまうように思う。(私だけだろうか…)
出演者に求める役割も視聴者によって様々だとすれば、ゴールデンはやっぱり大変だなぁ。いすれにしてもスタッフの飽くなき努力にエールを送りながら今後も見守っていきたい。

中島精隆