NHK「あたらしいテレビ2024」が残念だった

  • 番組名:あたらしいテレビ2024
  • 放送局:NHK
  • 放送日時:2024年1月7日

いつも年初に放送されるNHKの「あたらしいテレビ」。今年も1月1日に放送予定だったが能登半島地震のため延期され1月7日に放送された。

1年間の映像コンテンツを振り返りコンテンツ世界の新しい兆しを予感させるこの番組は、僕は大好きでとても勉強になった。コンテンツの目利き達がベスト10コンテンツを選出し、どんなコンテンツが選ばれているのか、そしてコンテンツの新たな兆候が出現しているのか注目だが、年々選ばれるテレビコンテンツが減りYouTubeやネットフリックスなどが増えている。

さて今年はどうかと思ったが、2023年コンテンツは「心が動いた超個人的コンテンツアワード2023」ということで16人の多様なクリエイターが各人10コンテンツ選んだもの。コンテンツの数だけ見るとテレビが53、映画34、MV13、YouTube21、ネットフリックスなど配信系22。ライブ、舞台、ゲーム、CMなどもコンテンツとしてあった。番組の中であまり詳しく扱われなかったので知らないものもたくさん。また選者のクリエイターもエンターテイメント界のトップランナーというが知らない人がたくさん。

ともかくこういう観点で見ると、コンテンツの中でテレビ番組の存在が下がっているというのが番組内での事実。

そして、今回のMCは東京03の飯塚悟志、上白石萌音、そしてアイドルVTuber星街すいせい。NHKの番組でVTuberがMCに加わるというのは画期的だろう。そしてコーナーVTR最初の登場人物は12才の女優白山乃愛。彼女がリスペクトする演出家福田雄一につないでいく。

続いては、光り輝く若き才能を集めた座談会のコーナー。漫画家、小説家、マイクパフォーマーに演出家、そしてなんと12才の映画監督が集まる。5人の中で一番の年長であるダウ90000の蓮見で26才というからまさに新進気鋭。

僕の勉強不足で知らない人が多く、刺激はいっぱいもらった。しかし、コンテンツ作りを担う30代、40代がこの番組の登場人物にはほとんどいない。該当者は東京03の飯塚くらいでは?(50代の福田雄一や映画監督の山崎貴はいたが・・・)

そこで僕には違和感が出た。あまりに分散している。「超個人的コンテンツアワード」でも合わせて160コンテンツが選出されたが、その中複数の人に選ばれたのは8コンテンツ(「日本テレビドラマ「ブラッシュアップライフ」が最多の4票獲得。他にもバカリズム作品は選ばれていた)。選者16人の人選もコンテンツに対する評価も番組ではあまり詳しく掘らなかったのが残念。もっと選者の選考理由を聞きたかった。

ともかく今回の「あたらしいテレビ」制作者がコンテンツの将来をどう見ているのか、従来の制作者とかなり違う展望を持っているのではと推察した。

コンテンツという言葉は範疇が広い。テレビや映画という既存のコンテンツからYouTubeや動画配信系ぐらいまでで語ってくれると話題が分散せず僕には理解しやすい。

今回の番組がやろうとした試みはいろいろあった。しかし、もっと時間枠が必要だったろうし、新しい兆候を見つけようとするには中途半端に終わったのではないか。毎年楽しみに見ていた者としては残念だ。

柴垣邦夫