テレビのゆくえ~シミュレーション#1~

テレビはこれからどこに向かうのだろう。「どこに向かうべきだろう」ではなく、自然の流れとしてどんな変容を余儀なくされるのだろう。未来のことはわからないが、スマホやAIがヒトの自然な欲求に応え、猛スピードで進化した事実からすれば「べき論」はとりあえず棚上げし、「テレビはこんな風になっちゃった。だってこの方が便利で助かるんだもん」と評される道具に変わっていくんだろうなぁ。

じゃ、具体的にそれって何?(以下、妄想)

ビジネスマンは平日の朝、テレビに向かって言う。「昨日の日経平均株価を教えて」「今日の東区の午後の天気を教えて」「疲れのとれる音楽を流して。画は信州の渓谷がいい」。そして、生放送のニュースを視聴しながらコーヒーを淹れ、思いついた注文を出す。「推しのミュージシャン〇〇がこの1週間に出演した音楽番組すべてを土曜日までにまとめておいて」。「まとめる」とは、出演シーンだけを抜き取り、1本に編集すること。また、生放送のニュースが中東情勢に及び、疑問が生じれば質問してみる。「今、イランの貿易国ってどこなの?」すると、テレビは回答をテロップ表示してくれる。なんだかAIと一緒にテレビを見ているみたいだ。うん、これはいいぞ。こんな相棒が前からほしかったんだ。日曜日には先日亡くなった岸恵子主演の映画を2本立て続けに見たいな。待てよ。彼女が報道番組で活躍したアーカイブのダイジェストを挟んだ方がギャップを楽しめるかも…。よし、そんな感じに編集しておいてもらおっと。

勝手な妄想を繰り広げたが、放送局は将来も生視聴を前提に粛々とプログラムを組むだろうから基本的なスタンスは現状維持。一方で、日々更新されるアーカイブを瞬時に抜き出したり加工するAI技術はきっと進化し、テレビの機能を高めてくれるはずだ(著作物の2次利用制限については考慮せずに語ってます)。

とりあえず、当分テレビがなくなることはなさそうだが、視聴者が番組に没入してくれないと制作者のメッセージが伝わりにくくなる恐れはあるなぁ…。

中島精隆